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学生の時、何かの講義で、「自国の料理で他国の人々をもてなすのは、フランス人と中国人だけだ」という話を聞いた記憶がある。 生まれてこの方、ほとんど国際的な食事場面に遭遇したことがないので、そう言われれば、そうなのかと鵜呑みにするしかないが、少なくとも、オーストラリアに旅行した時は、土地の料理らしき物にはお目にかかることはなかった。 ホテルの朝食はバイキング式の、いわゆる欧米流のブレックファーストという物であった(らしい)し、あるテーマパークでの昼食も、中華と洋食の混ざったようなバイキング方式の物であった。 夜は夜でレストランに行くのだが、選択肢は、パスタ、ステーキ、牛肉以外の肉料理(カンガルーとか、ラムとか)だった。 カンガルーは確かに、この国でしか食せない食材ではあるが、もともと、この大陸に住んでいた土着人の食文化を垣間見たとは思えない。 おそらく、どんな国もしくは土地にも気候や風土をバックグラウンドとした自分たちの食事形態や料理法、味付けといった文化を持つ。 特に島国である日本では、陸続きの国とは違い、食に関する交流が他国に比べて少ないのかもしれない。 また、日本人は(日本人に特有のことではないが)他国由来の食べ物を自国の嗜好に合わせて変化させ取り入れてきた。 この事実は、評価に値する一つの文化であると私は考える。 人類が夜ごと目にする宇宙に関心を持ち幾千年、とうとう人類は地球を離れ、宇宙ステーション設立を計画、実行へと進めるに至った。 その際、ただ建造物を宇宙に造るのではなく、我々人類をそこに滞在させるわけで、その中には日本人もいることだろう。 誰しも、自分の慣れ親しんだ土地の料理を食べたいと思う時があるだろう。 まして、その土地を離れ、異なる食文化圏で生活している場合は十分に考えられるし、宇宙ステーションに滞在し、仕事をこなす日本人もそう思うに違いない。 言うなれば、宇宙に滞在する人間の嗜好にあった物が要求されるのだ。 二歩に害の国の人が、日本食を受け付けないのは仕方のないことだが、その現場に日本人がいる以上、日本食も宇宙に進出する必要がある。 同時に、日本人も、フランスや中国のように、公の場で、日本食を振る舞えばよいのだ。 少なくとも、自国の食文化を恥じているわけではないし、無論その必要もないが、自国の食文化を持っているのだから、それを披露してやればよいのだ。 「健康食品」がうたわれ出してそう長くもないが、少なくとも、歴史というものがある以上、その安価で養われてきた食文化を否定することはなく、またその必要もなく、その土地には、その土地にあった風土とそれに見合った「食」があり、それによって育まれてきた命がある。 私たちが知らなくても遺伝したちはその土地に合った食を受け入れて、そこから栄養というものを取り入れてきたのだ。 だからこそ、日本人はたとえ宇宙であっても、自分たちの食を貫けばいいのだ。 宇宙における食文化が成り立つまでは、各々が地球から持ち寄った食文化を楽しめばよいのだ。 |