はみごのぼやき
栄養と毒
〜相反する成分の混在について思うこと〜


我々が口にする食物には、決して有用な成分だけが含まれているわけではない。
日本人における鉄の摂取不足の原因の一つとして、土壌中の鉄成分の低さが挙げられることがある。
日本という国の土地には、鉄成分が他国より少ないというのである。それ故に、他地域で生産される食物よりも鉄分が少なくなってしまうという。
植物の場合、それを育む土や水といった自然環境の影響を受けざるをえないわけである。
しかし、環境中には、様々な物質が混在している。それは、必ずしも、我々にとって無害なものとは、限らない。 また、我々人間が環境中に排出してきた物の中にも、人体にとって有益どころか有害な物質も多々あることだろう。 あくまで「人体にとって」という前提の基に話を進めることになるが、環境中に様々な物質が混在していると言うことは、その中で育つ物にも、当然それらが影響してくると考えられる。

我々の消化吸収過程には、これまでの、それこそ先祖達の食生活が影響している。 もし現在、有害とされる成分が元来食物に含まれる物であったなら、それを消化・吸収、利用もしくは排泄することが可能であったかもしれない。 確かに人類は、変化に適応してきたのかもしれない。それでも、一朝一夕に適応してきたわけではない。 それなりの時間をかけて、おそらくは、数代という継体を重ねて適応する方向に変化してきたのだろう。

有害と言われる成分のほとんどは、人工的に排出された物だとも言われる。それでは、憎むべきは、人工による事象か。 しかしながら、その人工的な成分を作り出した過程には、確かに、「人類の幸福」を願う気持ちが存在していたはずである。

科学や研究職に携わる者に限らず、我々人間は、忘れがちなのかもしれない。「循環」という理念の存在を。 ヒトは食物連鎖の上位に位置する。今のところ、ヒトを食すものが見あたらないため、蓄積された成分は、我々人類を頂点に、すなわち、最も毒性の高い位置に据えたことになる。 まさに、因果は巡るわけである。 いつか巡り来ることを念頭に、食行動について考えるのも悪くはないだろう。



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