はみごのぼやき
キャシャーン

この作品は、どうも前評判が悪かったような記憶があったのですが、皆さんはどうでしょうか。

結果から言いますと、一見の価値がある作品だと思います。
機会があれば、是非、見ていただきたい作品です。
考えていただきたい作品というか、こういう現実も起こりうるのだと、知っていほしいと思います。

人は、あんな理由で、他者の命を脅かしたり、不条理に奪ったり、弄んだりすることがあるのだと、私は、悲しいかな思っています。

憤ってください。そんな現実もあることに。
そんな理由が存在することに。そして、そんな理由を大義名分にすり替えて、周囲を謀って、悲しみの連鎖を生み出すことに。
誰かの欲望が、人の心や、人が人たる理由だとも言われる理性を押さえ込んでしまう、時に失われる恐ろしさを、知ってください。

おぞましいと思うなら、腹立たしく思うなら、そうはならない自分であってください。そうありたいと私は思います。

前半に垣間見た場面が、後半のとある場面に繋がっていたり、ストーリー自体も面白かったと思います。
映像としても、視覚的にも、凝っていると思いました。
そこに生きる人の時折見えるほんの一部分の思いも含めて、練られた作品だと、私は思いました。

「死んではいけない」のです。

その通りです。その通りだと思います。
私も、あなたも、死んではいけないのです。
あのような状態で。

悲しいなぁ。

誰だって、戦います。色々なものと。
けれど、それは、略奪であってはならないのだと思うのです。
必要性も、必然も、そこには存在などしない。

皆が正義で、皆が悪者。
誰かにとっての善と、他の誰かにとっての悪と。
立場が違えば、見解が変わる。

憎しみの連鎖は、心も体も蝕む。

「みどり」さんも言っていましたが、私は、優しくない人など、そうはいないと思っています。

終わりの方で、少し出てきましたが、あれとは違う「今」も、存在した可能性はあったはずです。
それなのに、「今」はあんなにも悲しい。

願わくば、あなたに向けるものは、憎悪をこめた銃口ではなく、人として在るこの手でありたいと思うのです。



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