はみごのぼやき
ハウルの動く城

珍しく劇場まで見に行った作品です。

何から語りましょうか。

まずお城から。
これが現れた時には奇声を発しそうになり、焦りました。落ち着け、自分。
一言で表現するなら、「魅力的」でしょうか。そう思いながら、彼の城を眺めておりました。
どうやって動いているのか、動力部はどうなっているのか、構造は?解体してみたい…ではなくて、解体するところと、解体した物を見てみたい…そう思いました。

CMで流れていた曲が気に入っていました。

今回の作品は、舞台がこれまでの日本と違ったためか、背景に何か違うという印象を受けました。
背景と比べて、街行く人が色鮮やかな感じがしました。

裏路地と、後に出てくる王宮の対比とでも申しましょうか。

ソフィーにかけられた呪いとやらは、もしや、精神的なものへの呪いだったのではないかと、そんなことを思いながら見ていました。

ハウルさん、臆病でも弱虫でもないですよね。
面と向かって言えないことは、意気地のないことなのかもしれません。
しかし、彼は、ある意味真っ向から「逃げ回る」という手段で拒否していたのだと思いたいのです。

心って不思議です。
ないと思われてもあったりするし、「芽生えるもの」だと言う人もいます。

むしろ「心」がなければ、招集に応じていた気がします。

「自由に生きるのに必要な数」だけの名前を持つというハウル。
「自由に生きるのに必要な数」とは、どれくらいなのでしょうか。
何だか、この言葉を聞いた時、複雑な気分になりました。
いくつもなければならない物、ですか。そうでない方が良いような気がします。

穏やかに見える日常と、豪華で洗練された王宮、そして戦争のための、人の命を奪う「道具」との対比。
戦艦を最初に見た時は、胸が痛くなりました。「ああ、ここでも戦争なのか」と。ちょっとうんざりですよね。 こんな物を見ても、まだ、戦争を始めたり、戦争に荷担しようと思うのでしょうか。こうして見ているだけで、もう嫌だ、たくさんだ、と思いませんか。

ヒン。
どうやら自らの意思で、ソフィーに付いてきたようです。
ソフィーを助け、守り、そして過去から勇ましく彼女を導き、元の世界へ連れ出したヒン。
あのときは、ソフィーとは違う理由ですが、私も泣いていました。

ハウルとカルシファーはずっと待っていたのでしょうか。
覚えていたのでしょうか。
だからカルシファーは、最初にソフィーに契約を解くように頼んだのでしょうか。忘れていたとしても、それさえも必然だったというのでしょうか。

カカシのカブさん、なかなか紳士的な御方でした。
彼の本当の姿には、少し驚きましたが。そんな重要人物だったとは。
彼も「複雑な呪い」をかけられていたそうですが、どうしてそんなことになっていたのかは、少し考えるところでした。

ソフィーは自分で呪いをはね除けていたのでしょうか。また、そうして解く呪いだったのでしょうか。自力で戻っていたように見えました。 同時に、荒れ地の魔女がかけた「複雑な呪い」とは、「心」の状態を反映するというか、それ故に「複雑」なのかと思ったりもしました。 まあ、ご本人に聞かねば分かりませんし、本人さん、答えてはくれそうにないですね。

サリマン先生も、最後に、「馬鹿げた戦争」というようなことを言っていたと思うんですけどねぇ。
あの後、戦争が終結したとしても、サリマン先生は、事後処理で罪を問われる気がしてなりませんでした。

ソフィーが強い女性だと思っていました。
確かに、取り乱しても、良いことなんて、ないですよね。 それだけではなく、何というか、受け止める、受け入れる強さというのでしょうか。「あるがまま」というのは、結構、難しいものなのかもしれません。

ハウル。あんまり「わー」と怒ったり、笑ったりしない人なのですが、なんでしょうねぇ。 突然現れて「掃除婦だ」と言う中味は若いおばあちゃんをそのまま家に置いているし…。「美しくない自分なんて」とか言い出すし。
彼は、どれくらいの時間、独りで闘っていたのでしょうか。



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