はみごのぼやき
犬川荘助義任

どういうわけか、イメージのはっきりしない人物である。

信乃同様、比較的早くから出演していた割には、確固たる人物像を得るに至らなかったというか。 それ自体が、彼の人物像を語ることになるのかもしれない。

とにかく、他の犬士に比べて、苦難が多いような気がしてならない。
下男としてこき使われるわ、当たり散らされるわ、信乃のお守りを押しつけられるわ、そのくせ、亀篠夫婦の仇を討とうとするわ、 忠義の人なのか、お人好しなのか、この時代ではそういうものだったのか…、判断しかねるところである。

結果、私の至った答えは、彼は、「人を憎むことのない人なのかもしれない」というものであった。
憎むとか、恨むとか、そういうものとはかけ離れているということなのだろう。他人を恨もうと、憎もうと、何一つ、己の得になることはない。 むしろ、そういった考えから解放されることは、その人が幸福になるための最低限の、そして、必須の事柄なのかもしれないと、私は思う。

もしかしたら、彼は、誰よりも幸福であろうとしたのかもしれない。
幸福になろうと努めたのかもしれない。
それが、彼の優しさであり、強さであったのだろうか。

穏やかな人。静かに、気遣う人。優しく笑ってくれる人。手をさしのべる強さを持った、とても強い人。この人の強さは、優しさなのだと思う。

毎朝、隣に人がいるのを見て、ほっとしていたと思う。

ほとんど、それこそ幼少の時分から、信乃のお守り役に徹している印象が強い。最優先事項は、信乃(笑)。

雪のイメージが強く、朝、特に早朝、または、深夜のイメージが強い。
雪の降り積もった朝(今は雪がやんで、日が射している状態)だとか、深夜、しんしんと降り積もる雪の中に、一人佇むイメージ。

積もった雪の下から、雪を割って花を咲かす福寿草や、気持ちの良い、優しい朝日といった景色が似合う。



八犬士選択



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